実写版「幽遊白書」第五話(最終話)感想
いや、面白かった!!
実写版「幽遊白書」全話完走しました!!
とうとう戸愚呂弟戦でしたね。
今まで肝心の筋肉操作をチラ見せしかしていなかった戸愚呂弟ですが、最終回にして全開になりましたね。
綾野剛さんの演じられる戸愚呂弟は、サングラスで目元を隠しているし、あまり口元の表情の変化も少なく、感情の読みにくいキャラですね。
そして、そのあまりの演技力から演技力お化け呼ばわりされることの多い綾野剛さんは、戸愚呂弟を演じるに当たり、その声を低く、そしてあまり抑揚のない、石のような硬質でひんやりした感じの響きにされました。
その声音の底には、底なしの穴を覗き込むような絶望が横たわっており、すでに何かを希望する、望むことを全てやめてしまった人物を、その悲しみが生々しく伝わるくらいに演じておられます。
戸愚呂弟があんな絶望しきった性格となったきっかけの、潰煉の襲撃事件では、戸愚呂弟の目の前で弟子たちは食い殺されており、戸愚呂弟がかなり精神的に異常をきたしていたことも暗示されています。
正直、原作では「何で戸愚呂弟は幻海師範をわざわざ殺害する必要があったのか?(ほっておいても、自分と考えの違う幻海師範は間もなく寿命で亡くなるはず)」と疑問でした。
しかし、こちらの実写版のより悲惨な事件では、戸愚呂弟にかなり狂った部分があるということが暗示され、それでその異様な行動の説明がついています。
それにしても、戸愚呂弟の筋肉操作、100%となるとおぞましい化け物感が出ます。
原作の、ある種メカっぽい造形ではなく、完全に生々しい感じの筋肉の化け物という方向に造形されており、嫌悪感は原作よりかなり強く感じました。
戸愚呂弟は、幽助ばかりかメインメンバー四人をいっぺんに相手取っても余裕であり、原作以上の圧倒的強さを誇示しています。
また、インタビューで綾野剛さんが仰っていたように、戸愚呂弟は、サングラスを吹っ飛ばされた後の目が、どこか悲し気な人間的な目をしており、それがクリーチャー感のある100%の姿と対照的で、何だか余計におぞましくも哀しい存在として目に映りますね。
戦いの舞台が、暗黒武術会のコロシアムではなく、BBCの賭け専用の闘技場であり、幽助の戦い方も、破損して刃物状になった壁の金属パーツを利用するなど、なかなか面白いことになっていました。
幽助は、幻海師範から受け継いだ霊光玉由来の膨大な霊力を駆使した霊丸で戦いますが、拳に霊気を集めて直接当てる、「ショットガン(霊光弾)」的な技も使いますね。
ショットガンは名前の通り散弾銃のように霊気を散らして多数を倒すこともできる技ですが、幽助は今回そういう使い方はしませんでしたね。
第二シーズンのお楽しみでしょうか?
戸愚呂弟の、今やネットミームになっているような名言の数々が、綾野剛さんのバスボイスで再現され、これは大興奮でしたね。
この声質だけとっても、綾野剛さん起用は大正解だったとしか言えませんね。
綾野剛さんが直前イベントでも仰っていた、顔だけ固定し、全身をボディスキャンしたデータを元にCGで補正するという使い方をした手法で、ここまで迫力のある画像が作られたのですね。
技術の進化には感動しますし、何回も繰り返される撮影に果敢に挑んで完璧な作品を仕上げられた俳優さん各位、多くのスタッフさん各位、そして月川翔監督の信念の確かさに、感謝の念が湧き上がって来ます。
綾野剛さん演じられる戸愚呂弟だけでなく、滝藤賢一さん演じられる戸愚呂兄も、今回は本当に見事でした。
とにかく素晴らしい気持ちの悪さ(誉め言葉)。
下劣でサディスティック、弟以上に妖怪になりきっており、それを心から楽しんでいる風が実に小気味良い悪党ぶりなんですよね。
あの天井を高速で走るところ、実に良かった。
桑原君を翻弄するあたりも、硬派でまっとうな彼と好対照が際立っていて、実に印象深いですね。
あの魔獣に追いかけられる桑原君、螢子ちゃん、雪菜ちゃんは、実にジュラシックパーク的と申しますか。
意外とハリウッドぽい演出、幽遊白書と相性が良かったりするなと。
あの名シーン、戸愚呂弟と幻海師範の冥獄界行きの道での別れは泣きました。
戸愚呂弟の行く道が、幻海師範と言葉を交わした後に崩壊して、二人を隔てる演出が……!!
幽遊白書、色々素晴らしいところが多々あり過ぎるんですが、こういう情景の美しさも一切手抜きなしで、全力で視聴者のハートに霊丸を撃ち込んでくるんですよね。
凄すぎました……我が青春の幽遊白書をこれほどの超絶レベル実写にしてくださった、全ての関係者にありがとうと申し上げたい。
そしてNetflixさん、今後も付いていきますよ……!!!
そういえば、原作では幻海師範って、暗黒武術会の優勝賞品の「何でも願いを叶えてくれる権利」で生き返った訳ですが、こちらの実写版は暗黒武術会でないので、幻海師範は生き返らないのですかね……ええ……。
それと、戸愚呂兄が首だけになって首縊島の海岸に打ち上げられているの、これは第二シーズンの布石でしょうか?
更に言うなら、左京が作っていたあの施設、稼働を止めたのでしょうけど、破壊された訳ではなさそうなので、どうするんでしょうねえ。
それと気になっていたのが、戸愚呂兄弟は「魔界の力を借りて妖怪になった」とのことだったのですが、暗黒武術会の賞品でなかったのなら、「何者が何故、戸愚呂兄弟を妖怪化したのか?」という巨大な疑問が残ってしまう……不穏です。
こnちらの実写版「幽遊白書」、第二シーズンも制作されると確信していますが、実際どんな話になるのか。
原作で言うなら、仙水編とか魔界編が残っていますが、色々設定が違っている実写版ではどうなるのでしょうか?
もっと大胆にオリジナル色も出していただきたいなあなんて(´∀`*)ウフフ